BACK オコンネル通り NEXT ダブリンのタクシー


 終点に着くと先ず団体さんが降り、後から「中学生達」も降りてきた。周りは古い大きなビルが多く、ほとんどが事務所のようだ。車道は広いが車は少ない。ひっそりとしていて「最大の繁華街」近くとは思えない。現在地はオコンネル通りの東側だ。あまりの静けさのため、通行人に「オコンネル通りは?」と尋ねた。「前方すぐです」と教えてくれた。オコンネル通りは、南北に片側三車線の車道が ある。中央部に8m〜10m幅の公園兼中央分離帯があり、レフィ−川まで続いている。通りの景観は大阪の淀屋橋近くの御堂筋とよく似ている。通りの両側には広い歩道がある。通りに平行して、6F〜7F建ての重厚なビルが立ち並んでいる。石造りの伝統あるビルが多い。新しいビルは、御影石のような壁が「キラキラ」と光っている。ビルの1階当たりの高さは日本より高いが、せいぜい8階建てで超高層ビルはない。広い歩道がビルの重圧を感じさせない。オコンネル通りをレフィ−川に向かって歩いた。さすがにダブリン随一の繁華街で人通りも多い。歩道に面して広いショ−ウインドウの近代的な店が並んでいる。毛皮製品、宝石などの「高級品」が目を引く。日本で見かけないヨーロッパ調の物が多い。

 市民観光客など多種多様の人達がいる。人の流れはゆったりしている。ロンドンのように「他民族」の姿は少ない。「アイルランド人」単独の街だ。背丈も僕と変わらない。大型トラックの姿はなく「公害車」やマナーの悪い車は見かけない。これが首都ダブリンなら、僕はこの国に来た甲斐があると思った。車も信号待ちの車も少なく「クラクション」の音も割り込みも無い。時々、車の流れが途切れるほどである。その車が途切れた時に、横断歩道を渡らずこの広い通りを走って横断する者が多い。信号と信号(横断歩道)間が長い為である。丁度、目前で中年男性二人が走って横断し始めた。彼らは公園兼中央分離帯まで走り、残り半分の車道を一気に渡ろうとした。しかし、その時2台の車が接近して来たので、立ち止まって元の中央分離帯に戻った。こんな時、「大阪の運転手」なら、渡りかけた歩行者に向かって、「おっさん、なにすんねん。ばかやろう・・・」と怒鳴るだろう。しかし、車はかなり手前で速度を落とし静かに通り過ぎて行った。オコンネル通りの歩道を南のレフィ−川に向かった。ここは、幹線道路の交差するところで信号待ちの車も多い。途中で、来た道を振り返って見た。歩道に沿って5〜6階建ての大きなビルが整然と並んでいる。中には屋上に「ちょこん」と緑色の小ド−ムの屋根を載せている。

レフィ−川にかかる橋の手前に来た。そこで公園兼中央分離帯が終った。目の前に大きな銅像が建っている。それは、胸を張ったオコンネルさんだ。彼は南の方を見つめ、「演説」しているようだ。まるで、前方のトリニテイ−大学の学生達に何かを訴えているようだ。川に沿って東西に広いエデン埠頭通りがある。名前からすると「港」が近いようだ。大きい通りなので、「トラックや冷凍車」が走っていると想像をする。しかし、小型車、タクシーがスピードを上げ通って行くだけだ。今日はトリニィテ−大学の前を通り、セントスティ−ブンス・グリ−ンへ行く事にした。そうすれば、ダブリンの東西南北の中心位置を認識できる。すでに、1時を過ぎていた。うす曇と青空を織り交ぜているが、気温は快適だ。まず昼食を食べることに決めた。ガイドの中から、グレイト・ジョ−ジ通りの中華料理店を選んだ。汗ばんだ喉がギネス、ギネスと言い始めていた。エデン埠頭通りを早足で渡り、レフィ−川にかかる橋に来た。橋の上から川を覗くと、水は綺麗ではないが汚くはない。水深は深い所でも2m位、川幅はせいぜい50m程の浅くて小さい川だ。川下、川上を見渡しても「一隻の船」もなく、今は「バイキング船」の面影はない。橋を渡り振り返ると、オコンネルさんが私を見ている。向こう側の橋の上(川上側)に、10歳前後の少女が2人いるのに気づいた。「年上」の方が、欄干に沿って立っている。「年下」の方は、欄干にもたれるように座っている。彼女たちの前に、「箱」らしき物が置かれている。普通の子供の服装だが、どう見ても「ストリートチルドレン」のようだ。東南アジアでは見かけられた。「この現実のアイルランドを確認する事」は次回にした。

 川の南側は、広いバ−グ埠頭通が東西に走っている。オコンネル通りは、レフィー川を渡った所で前方に50〜60度の角度でY字型の三叉路になる。正面にトリニティ−・カレッジの建物が見える。Y字のV字部分に挟まれた広大な敷地が大学である。この交差点辺りは、交通量も人も多い。車はかなりのスピ−ドで走ってくる。ここでは、死を覚悟して信号無視で走り抜ける者は一人もいない。右側のウエストモ−ランド通りに入った。左に石造りのトリニテイ−大学、右にギリシャのパルテノンの神殿を思わせるアイルランド銀行が建っている。周辺は超高層ビルはなく、高級ホテルや公共機関の重厚で伝統のある建物が多い。人通は多いが落ち着いた雰囲気でクラフトン通りに繋がる。そこは、街頭パホ−マンスで有名な観光名所である。僕はアイルランド銀行前から右側のデイム通り、グレイト・ジョ−ジ通りへと歩いた。この辺りまで来ると交通量も人も少なくなった。ビルの大きさも高さも一回り小さく、レンガ造りの4階建ビルが多い。ほとんどが商店用のビルで、一階はレストラン、雑貨工芸品の店になっている。